相続税の課税対象になりそうな都内のマンションとは?―相続評価額を確認しておきたい3つのタイプ



前回まで、二次相続で親の持ち家が戸建て「23区で2次相続が生じやすいエリアとはー都内に親の持ち家がある方は必見!」であるか、マンションであるか「港区のタワーマンションで二次相続がどうなるかを検証する」に分けて、それぞれの相続税の評価額がどうなるかを説明してきました。戸建ての場合は土地価格がいくらであるかがポイントになる一方、マンションの場合は、あまり気にする必要はないと解説しましたが、何事にも例外があります。

今回は、その例外になる相続税の課税対象になりそうなマンションはどういうタイプであるか、少し突っ込んで考えてみたいと思います。

マンション評価は、「土地価格+建物価格」でしたね。今回もこれまで同様、相続人は子供2人、基礎控除額は4,200万円とします。



相続税の課税対象になりそうな都内のマンションとは?―相続評価額を確認しておきたい3つのタイプ

写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。



相続税の課税対象になりそうなマンションの3つのタイプ

相続税の課税対象になりそうな東京都内のマンションのタイフ゜を土地価格と建物価格の組み合わせによって3つに分けてご紹介します。



タイフ゜1:都心の商用エリア(土地価格が高い・建物価格は低い)

イメージは都心5区(千代田・中央・港・渋谷・新宿)など、都心の商業地域にあるマンションです。商業地域なので、土地価格が格段に高いです。このため、土地の持分の面積が少なくても、評価額は大きくなる特徴があります。

例えば、渋谷駅徒歩5分、宮益坂に面する築33年の中古ワンルーム(専有面積24㎡、6F/10F、総戸数24戸、敷地面積約220㎡、路線価403万円/㎡、売却希望価格2,980万円)の相続税評価額は、次のようになります。

土地の評価額:403万円/㎡×220㎡÷24戸=3,694万円
建物の評価額:6.6万円/㎡×24㎡×1.2(共用割増)=190万円
相続税評価額=土地3,694万円+建物190万円=3,884万円


※6.6万円/㎡は渋谷区の固定資産税評価額の平均(非木造の住宅、平成26年)。
※1.2(共用割増)は、固定資産税の建物評価は共用部分の面積を含むため、20%増と仮定。

ワンルームマンションのような狭い物件では、土地価格の高い場所に所有している場合は、土地の持分が220㎡÷24戸=9.2㎡相当しかないのですが、土地だけで基礎控除額に近い評価額(本ケースでの4,200万円では約9割)となります。また、注目すべきは相続税評価額が売却希望価格2,980万円を800万円も上回っていることです。

また、仮にこの例で土地価格が現行の403万円/㎡から1割上がると、土地評価で約369万円増となり、こうなると基礎控除額の4,200万円もオーバーしてしまいます。土地価格の高い地域にある物件は、いかに地価の価格変動による影響が大きいかを実感していただけると思います。



タイフ゜2:ヴィンテージマンション(土地価格が高い・建物価格は低い)

土地価格と建物価格の条件は上記と同じなのですが、イメージは港区の南青山や三田、渋谷区の松濤などの高級住宅地にある築年数の古い、中低層のマンション。いわゆる「ヴィンテージマンション」と言われているタイフ゜です。

このタイフ゜は、容積率の低い住宅地にあることから、階数も低層や中層が多いので、戸数が少ない。すなわち、土地の持分面積が多いという特徴があります。

例えば、港区三田、イタリア大使館のそばにある築47年のヴィンテージマンション(専有面積63.82㎡、4F/7F、総戸数74戸、敷地面積約2,130㎡、路線価107万円/㎡、売却希望価格4,550万円)の相続税評価額は次のようになります。

土地の評価額:107万円/㎡×2,130㎡÷74戸=3,080万円
建物の評価額:8万円/㎡(港区平均)×63.82㎡×1.3(共用割増)=664万円
相続税評価額=土地3,080万円+建物664万円=3,744万円


土地の持分比率は100%÷74戸=1.4%ですが、敷地面積が大きいので一戸当たりの面積は2,130㎡÷74戸=29㎡相当になります。上記「タイフ゜1」の土地の評価額403万円/㎡に対して、4分の1の107万円/㎡であっても、土地の評価額は基礎控除額の7割を超えます。閑静な高級住宅地にあるヴィンテージマンションにも注意が必要です。



タイフ゜3:湾岸エリアの広いタワーマンション(土地価格は低い・建物価格は高い)

イメージは湾岸エリアにある巨大なタワーマンション。

例えば、江東区豊洲、豊洲駅歩6分、築7年の48階建1,063戸のタワーマンション(専有面積113.41㎡、43F/48F、敷地面積約31,600㎡、路線価57万円/㎡、売却希望価格15,300万円)の相続税評価額は次のようになります。

土地評価額:57万円/㎡×31,600㎡÷1063戸=1,694万円
建物評価額:10万円/㎡(築浅を考慮)×113.41㎡×1.4(共用割増)=1,588万円
相続税評価額=土地1,694万円+建物1,588万円=3,282万円


土地の持分比率は100%÷1,063戸=0.09%と低いものの、敷地面積が大きいので一戸当たりの面積は31,600㎡÷1,063戸=30㎡相当となります。上記「タイフ゜2」と比べて面積に差はありませんが、土地価格は半分ほどしかないため、土地評価額は基礎控除額の4割程度です。

しかし、築浅で面積が広いため、建物評価額は高くなります。このケースでは、専有面積が113㎡でしたが、もし150㎡の物件であれば、2,000万円を超えますので、相続税評価額は約3,700万円へ上昇します。



タワーマンションの相続税の課税強化で建物評価額の見直しへ

ところで最近、タワーマンションを使った相続税の節税が広がっており、国税庁が課税強化に乗り出す方針であることが報道されています。

きっかけとなったのが、平成23年7月の国税不服審判所の裁決とされていますが、その概要は以下のとおりです。親から相続したタワーマンションをめぐり、東京国税局に追徴課税された家庭がありました。物件はマンション30階の約90㎡の一室で、父親が亡くなる直前(父の判断能力はかなり疑わしい時点)に親族が代理人となり約3億円で購入。国税庁の通達で定められた通りに相続税評価額を約5,800万円として申告しました。そして相続の4か月後、業者を通じて購入額とほぼ同額で売ったということです。時価と相続税評価額の差が約2億3,000万円もあったのです。

現金で相続していれば、「3億円」に課税されるはずのものが、マンションを購入すれば評価額は「約6000万円」(約2割)となってしまう。こうした「矛盾」を摘発した東京国税局の追徴課税に対する取り消し申し立てを国税不服審判所は「相続前後の短期間だけ所有したマンションを国税庁の通達で評価するのは不公平」と一蹴したのでした。

裁決では詳細が非公表なため具体的物件は不明ですが、30階部分91.59㎡なので、おそらくタワーマンションと推測されます。さらに、土地の評価額が高いので都心の物件と思われます。

これまではタワーマンション節税を不動産コンサルタントや金融機関が後押ししてきましたが、これからは、タワーマンションの課税見直しにより、上層階は建物評価額が変わる可能性があるので注意しましょう。

上記に該当しないタイフ゜のマンションは、土地価格、建物価格ともに低いマンションで、前回説明した、相続税を気にする必要の少ないマンションがこれに該当します。



他の資産も含めるとマンションの相続でも要注意

以上のとおり、マンションの相続税評価には、土地の価格、持分としての土地の面積、そして建物の広さに因ることをご理解いただけたでしょうか。

3つのタイフ゜から、基礎控除額を4,200万円とした場合、相続評価額がそれを上回るマンションは都内でも限定的であると言えるでしょう。しかし、相続税評価額が、売却希望価格を上回る場合や、相続人が一人であったり、ほかに相続財産もあったりすることもあるため、油断は禁物です。

実際には、相続対象となる資産は不動産以外の金融資産・預貯金などがある場合が多いでしょうから、都内のマンションに住む親の住戸が3つのタイプに当てはまりそうな場合は、相続税評価額はどれくらいになるかを一度、チェックされることをお勧めします。

三浦雅文(みうら まさふみ)米国国際資産評価士・不動産鑑定士
土地家屋調査士・行政書士・宅地建物取引主任士の資格も保有。1954年北海道生まれ。大学卒業後、測量、登記、鑑定、総合不動産会社を経て独立。多分野での経験を活かした不動産のアドバイスとオールラウンドの鑑定評価の業務を中心に活動中。



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