相続する土地の価格はどう決まる?



国税庁の統計によると、平成26年の1年間で、相続税にかかわった人は、相続人(受け継いだ人)が約15.5万人、被相続人(亡くなった人)が約5.6万人でした。財産の種類別では、土地にかかわる被相続人が約5.2万人と全体の9割で、相続税といえばほとんどが土地にかかわるものでした。

日本では「3代続けば財産がなくなる」もいわれるほど高い税率で知られる相続税だけに、土地の価格が気になります。土地の価格は、誰が、どのように決めるのでしょうか?



相続する土地の価格はどう決まる?

写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。



時価の意味は?

相続税法では、土地に限らず相続する財産の価値は「時価」となっています。簡単に言うと時価とはその時々に市場で成立している市場価格のことですが、もう少し掘り下げてみましょう。国税庁の実務上の指針である「財産評価基本通達」によると、時価とは「不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」とされています。

分かったような、分からないような表現ですが、土地の価格の場合、具体的には何を指すのでしょうか?

土地の価格を国や自治体が定めて定期的に発表するいわゆる公示地価には、地価公示価格(国土交通省)や地価調査(都道府県)、相続税路線価(国税庁)のほか固定資産税路線価(市区町村)などがあります。いずれも意味するところに大きな違いはありません。一方、実際に取引される価格には相場(地価水準)がありますが、その時々の状況により相場より安くなったり、高くなったりします。

このように、時価を決めるためのモノサシはいろいろなものがありますが、税務署では当然ながら、上部組織である国税庁が発表する「相続税路線価」を採用しています。このため「国税路線価」と呼ばれますが、単に路線価と言うことがふつうです。要するに、相続税にかかわる土地の価格は路線価によって決まるということです。



路線価とは?

では、その路線価について詳しく見ていきましょう。路線価とは国税庁の財産評価基本通達では「売買実例価額、公示価格(地価公示法)、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基に、国税局長がその路線ごとに決めた1m2あたりの価格」とされています。この価格に土地の面積を掛けると評価額となります。ただ、土地の形が複雑であったり、2つの道路に面していたりする場合は、土地の状況による補正(加算や減算)がなされます。この評価方式を路線価方式といいます。

路線価が付けられる道路は「不特定多数が通行する道路」と定義されていますので、対象は主に市街地の道路となります。私道など路線価が付かない道路もありますので、必要なら税務署へ申請して「仮路線価」を付けてもらうこともできます。

一方、路線価がない土地を評価する場合には、固定資産税評価額に、国税局長の定める倍率を掛けて相続税での評価額とします。これを、路線価方式に対して倍率方式といいます。

全国の路線価や倍率は、国税庁のホームページにある「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」(http://www.rosenka.nta.go.jp/)で見ることができます。



「地価公示価格の8割程度が路線価」は正しい?

1980年代後半、いわゆる昭和のバブル期に異常な地価高騰がありました。これに対処するため、1989年(平成元年)に「土地に対する基本理念と土地施策の基本事項を定めるための土地基本法」という法律が制定されました。

この法律を受けて、1991年(平成3年)に内閣の諮問機関である税制調査会が答申を出しました。その中で、相続税の負担調整として、土地の相続税評価については地価公示価格を基準とする旨や評価割合を従来の地価公示価格水準の70~80%程度に引き上げる旨が意見として出されました。併せて固定資産税の宅地の評価については、地価公示価格の7割程度を目標とする旨も記載されています。

さらに、1992年(平成4年)に閣議決定された「平成4年度税制改正の要綱」では「地価公示価格の8割程度」とされ、現在に至っています。同様に、固定資産税評価については、1996年(平成8年)に、自治省(現総務省)告示した「固定資産評価基準の一部改正」の中で「地価公示価格の7割程度を目途」と明記されました。

「相続の時に路線価を使うと、公示価格より2割程度安いので節税になる」という通説がありましたが、これにはこうした根拠があったわけです。しかし、現在の都心で顕著なように、地価の変動が激しくなると、地価公示価格と路線価のバランスが崩れることもありますので、通説どおりにはいきません。実際に、昭和のバブル崩壊後には、路線価が地価公示価格より高いという逆転現象がみられた時もありました。

土地の評価については、国税庁が定める財産評価基本通達で具体的な評価方法を定めているものの、評価方法を単純に適用できないケースもあります。

土地を相続する場合、税額の基準となる土地は時価で評価されます。相続する際には、路線価だけでなく、公示地価や実際の取引価格、いわゆる相場(地価水準)にも目を向けておいたほうがよいでしょう。

三浦雅文(みうら まさふみ)米国国際資産評価士・不動産鑑定士。

土地家屋調査士・行政書士・宅地建物取引主任士の資格も保有。1954年北海道生まれ。大学卒業後、測量、登記、鑑定、総合不動産会社を経て独立。多分野での経験を活かした不動産のアドバイス(相続・資産管理・土地活用・不動産投資・事業承継)とオールラウンドの鑑定評価(不動産のほか機械設備等の動産、特許権等の権利、上下水道等のインフラ)を業務の中心に活動中。



繰り返しになりますが、不動産の取引において、値引き交渉を成立させるポイントは、タイミングを見計らって適正な交渉を行うこと。そして、本来の目的を見失わないことです。「この家に住みたい」という意思がないまま値引き交渉を先行させては、不動産会社も協力してくれません。交渉人である担当営業マンに強い意志を理解してもらってこそ、その本気度は売主にも伝わり、値下げに向けて売主の心を動かすことになるのです。



早坂龍太(宅地建物取引士)

龍翔プランニング 代表取締役。1964年生まれ。1987年北海道大学法学部卒業。石油元売り会社勤務を経て、2015年から北海道で不動産の賃貸管理、売買・賃貸仲介、プランニング・コンサルティングを行う。



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