渋谷区のタワーマンションを住宅ジャーナリストの榊淳司が徹底チェック!



渋谷区は、いわゆる「都心5区(千代田中央新宿・渋谷)に入る東京の中心でありながら、タワーマンションはさほど多くありません。

渋谷区内のタワーマンションは、渋谷駅や恵比寿周辺に多く、広尾や代々木上原近辺などは中低層を中心とした穏やかな住宅地を形成しています。

ただし、数少ないタワーマンションには人気が集中する傾向が見られるのも大きな特徴。ヴィンテージマンションの輩出エリアでもあります。



渋谷区のタワーマンションを住宅ジャーナリストの榊淳司が徹底チェック!

写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。



【物件1】グランドメゾン恵比寿の杜

売主/積水ハウス 東京メトロ日比谷線「恵比寿」駅から徒歩6分
全144戸  2004年01月完成 地上23階・地下3階建

恵比寿エリアの安定したタワーマンション

23階建てというのは、タワーマンションとしては比較的低い方に入ります。
一般にタワーマンションとは、20階以上の物件を指しますから、ここはその基準を何とかクリアしているレベル。タワーの中では「低層」といえます。

しかし、恵比寿周辺の街並みというのは、どことなく庶民性がうかがえるところが特徴です。
40階や50階といった高層の建造物は似合わないので、この23階という高さがちょうどいいレベルかと思います。

タワーマンションのメリットは、何よりも眺望です。
このマンションの場合、都心にありながら周りには超高層建築が多くありません。

近くで住友不動産のタワーマンションが建設されていますが、その他に大きく眺望を阻害する建物は少ないので、開放感はそれなりにあります。
また周辺の街並みから、今後タワーマンションの開発が頻発するとも考えにくいエリアです。
その点、窓の外の開放感が「安定」しています。

建物の完成は2004年の1月ですから、新築の販売が行われたのは、2002年から2003年頃と推定されます。

この頃の新築マンション価格は「底」でした。
つまり、新築時に購入された方は、今売却しても譲渡損がほとんどないか、売り方次第では譲渡益が出る状態です。

こういうマンションのように、新築時の購入者を幸せに導くマンションは、建物の雰囲気にどこか明るさが漂っています。

逆に、購入者に譲渡損がかさんでいるようなマンションは、どこかに怨念が潜んでいるような気がして、見ていても明るい気分を導きません。

現在の相場観は、坪単価にして300万円前後かと推定されます。「恵比寿駅徒歩6分」というスペックも、資産性の安定感を示しています。

というのは、「恵比寿」駅徒歩圏での新築マンションの供給は少なく、その結果として中古マンションの流通量も多くありません。結果的に希少価値が高まって、資産価値が維持されやすいのです。

こういうマンションは、自分で「住むため」にも便利で楽しいのですが、賃貸で運用する場合もすこぶる安定するため、資産性も堅いものがあります。安定資産として、相続税対策などにも適したマンションといえるでしょう。



【物件2】青山パークタワー

売主/三井不動産 東京メトロ副都心線「渋谷」駅から徒歩4分
全314戸 2003年03月完成 地上34階建

渋谷区だけど、名前は「青山」

日本の代表的なヴィンテージマンションの1つですね。

場所は「渋谷」駅から宮益坂か金王坂を東に向かい、「宮益坂上」の次の信号を左に入ったところ。
アドレスは「渋谷区1丁目」ですが、かつての青山病院(2016年閉院)の近くであり、青山学院へも歩いて5分くらいなので、「青山パークタワー」と名付けたようです。

このマンションが新築として売り出された時は、衝撃的でした。

「あんなところに三井がタワマンを建てている!」

つまりは、マンション用地なんておよそ出そうにない立地だったのです。
しかも、売り出された当時は「失われた20年」の真っ最中。不動産市況はどん底の底を這っていました。

当時、新築で売り出された坪単価は400万円台の半ばだったそうです。
「たっかー、誰が買うの?」なんて言っているうちに、スルスルと完売。

そのうちにマンション市況が回復してきたので、おそらく分譲以来、中古価格が新築時の販売価格を下回ったことはないはずです。まさに、“ヴィンテージ”と呼ぶにふさわしい履歴を持っている物件ですね。
新築時に買った人は、大満足をなさっていると推測します。

現在は築14年の、やや経年変化を感じる物件になりました。しかし、周りにこれといった眺望阻害タワーもいまだに建たず。これからも、このタワーマンションの開放感は、長らく維持されそうな気配を感じます。

現在の相場観は、坪単価400万円台の中後半。上層階は500万円超え。
築14年ですから、そこそこに売り出し物件も出てきています。これから少し増えるかもしれません。

しかし、ここに住んでいれば間違いなくセレブと見なされるマンションです。チャンスがあれば、購入するのも悪くない選択肢ですね。

少し気になるのは、施工したゼネコンが「三井建設(現・三井住友建設) 」ということでしょうか。

業界人は、施工が三井住友建設だとちょっと身構えます。横浜市のマンション傾斜問題が記憶に新しいですからね。

検討にあたっては、過去数年分の管理総会議事録を取り寄せて、じっくりとお読みになることをお勧めします。
水漏れなどがあれば、慎重になるべきかもしれません。



【物件3】代官山アドレス ザ・タワー

売主/鹿島建設他 東急東横線「代官山」駅から徒歩1分
全501戸(うち再入居者253世帯) 2000年08月完成 地上36階・地下4階建

代表的ヴィンテージマンション

このマンションも、「青山タワーマンション」とほぼ同時期に誕生した日本を代表するヴィンテージマンションの1つです。

立地は、東急東横線「代官山」駅徒歩1分。まさに「駅前」と言っていい場所です。今や押しも押されもせぬ代官山のランドマークとなっています。

元は、関東大震災の義損金で建設された「同潤会代官山アパート」があったところ。老朽化のために再開発の計画が持ち上がり、十数年の話し合いを経て、このマンションなどの建設が決まりました。

新築時には、253世帯が「ザ・タワー」も含めた開発後の住宅に入居。ザ・タワーへの新たな購入者の入居は200戸程度だそうです。

このマンションもやや心配なのは、新旧の居住者間で価値観や暮らし方の乖離、あるいは対立がないかということ。

旧地権者が過半数ですから、管理組合では多数派を占めているはずです。そのような場合、往々にして管理組合内の紛争に発展します。

資産価値は盤石と言っていいでしょう。普通に考えても、山手線外では最も人気が高い「代官山」。
しかも、このマンションは「駅徒歩1分」という別格性を持っています。加えて、ショッピングセンターやスポーツクラブなどの複合施設も充実。

さらに、この周辺にはタワーマンションがほとんどありません。今後もタワーマンションがニョキニョキ建つような地域とも思えません。

新築時の分譲平均坪単価は400万円台の後半だったと記憶しています。今は500万円強が相場観。
新築分譲以来、多少の凸凹はあったものの、ほぼほぼ当時の分譲価格以上で取り引きされてきた印象があります。これからも、人気は続くのではないでしょうか。

ただ、そろそろ築20年が見えてきました。今後は管理組合が一層強力に活動する必要が生じます。
このマンションもまた、検討するのなら過去数年分の総会議事録を熟読すべきでしょうね。

管理組合の運営に問題が多かったり、建物の老朽化が激しかったりするようなら、慎重になるべきかもしれません。

しかし、代官山の街としての人気は、今後も当面維持されるはずです。
この街には世界的な住宅建築とされる「代官山ヒルサイドテラス」があります。

近年、駅に近い場所で無粋な大規模マンションが建設されて景観を阻害しましたが、歩いていて気分が良くなる街だと思います。

榊 淳司(住宅ジャーナリスト)
1962年、京都府出身。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案の現場に20年以上携わる。一般の人々に分かりにくい業界内の情報や、マンション分譲事業の仕組み、現場担当者の心理構造などをブログ上で解説。近著に『マンション格差』(講談社現代新書)など。



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