公務員は住宅ローンで金利優遇が受けられるのか?



「公務員であれば、住宅ローンの金利優遇が受けられる」と一部で言われています。公務員は金利優遇を「受けやすい」属性であることは事実ですが、あくまでも可能性の話。やみくもに「公務員は必ず優遇される」と考えるのは危険です。
なぜ公務員が優遇を受けやすいか、その理由を知り、住宅ローンに備えましょう。



公務員は住宅ローンで金利優遇が受けられるのか?

写真はイメージです。本文の内容とは関係がありません。



住宅ローンの3つの金利

まずは、住宅ローンの金利の種類について知っておきましょう。銀行の店頭やサイトでは、主に次の3つの金利が表示されています。

1.基準金利(店頭金利)

名前の通り、他の金利の基準となる金利のことです。一律の決まった利率があるわけではなく、経済状況に応じて変動し、また銀行ごとに異なります。日本国債や優良企業への貸出金利である「短期プライムレート」などを参考にして銀行が決定しますが、これがそのまま実際のローン金利に適用されることは少ないでしょう。

2.優遇金利

基準金利から引き下げられる金利幅のことです。銀行のサイトでは、「引き下げ幅0.8~1%」などと掲載されているケースと、最大引き下げ幅を引いた後の金利が掲載されているケースがあります。また、優遇されるのは当初数年間に限られる場合が多いので、注意しましょう。

3.適用金利

実際に住宅ローンで適用される金利のことで、つまり基準金利から優遇金利を差し引いたものが「適用金利」です。基準金利からどの程度引き下げるかは、収入や年齢などを考慮した審査によって決定されるのですが、引き下げ幅は優遇金利の範囲内と定められています。

優遇金利は基本的に銀行の審査で決定しますが、提携先の不動産会社などを経由して申し込まれた住宅ローンの場合、店頭で公開されている以上の優遇を受けられることがあります。一般に、公務員はこういった優遇が受けやすいとされるのです。



公務員が優遇を受けやすいとされる理由

ここで、公務員という職業の特徴について改めて考えてみましょう。
公務員の給与は、民間企業の平均値を基にして決まるため、景気変動の影響を受けます。ただし、民間企業の平均とは、あくまでも正社員における平均値です。実際には非正規で働いている人も多いため、給与水準は高めと考えて良いでしょう。また、配偶者や住宅などの個人的事情に関する手当や、休日出勤や時間外労働といった業務に関する手当も手厚い傾向があります。職種や地域による差はあるものの、総合的に見て給与は平均以上でしょう。

景気変動の影響を受けつつも、給与水準が高い傾向がある。公務員が安定していると言われる理由は、それだけではありません。主な理由は以下の3点です。

1.倒産がない(万が一、国の破たんがあったとしても、その時は企業も大打撃を受けるので公務員特有のリスクではない)

2.基本的に解雇がない

3.退職金がある

これらの理由から、「この人は住宅ローンを確実に返済できるだろう」という安心感と信頼を金融機関に与えることができるのです。返済リスクが低ければ、銀行は当然、自分のところで借りてほしいと考え、金利を優遇する確率は高くなります。



注意!公務員=優遇金利ではない

ここまで、公務員は雇用の安定性など様々な理由で優遇を受けられる可能が高いということをお伝えしました。ただこれは審査をクリアした上の「優遇」であって、借入時の審査そのものは通常通り行われます。

公務員だからといって特別審査枠はありません。「他に借り入れがある」「延滞履歴がある」といった人は、たとえ公務員でも審査自体に落ちるかもしれません。また、借り入れや延滞履歴はなくても、クレジットカードを多く所持していて借入枠が大きい人は、審査で不利になります。さらに「定年が近い」「頭金が少ない」などの不安要素があれば、やはり優遇の程度は低くなるでしょう。より大きな優遇を受けるためには、他の職種の人と同様、借り入れや適正借入額には留意する必要があります。



優遇金利と住宅ローン控除

優遇金利の適用を受けるメリットは、単に返済額が小さくなるというだけではありません。

「住宅ローン控除」と併用することで、金利以上の所得控除が受けられる可能性もあります。住宅ローン控除とは、ローン残高のおおむね1%(平成26年4月1日から平成31年6月30日まで)にあたる金額が、所得控除によって還付されるというもの。優遇金利により、仮に金利が1%を切れば理論上はプラスになります。

例えば、2017年4月の「フラット35」の金利は、頭金1割以下で1.12%程度の金利を採用している金融機関が多いです。この「1.12%」という数字を、優遇金利によって1%以下にまで引き下げられれば、家計メリットは大きいものになります。

ただし実際には金利が1%を切ったからといって、必ずしも節税メリットが上回るとは限りません。適用限度額があることや、住宅ローン控除を受けるための証明書が別途必要なケースもあり、金利以上のメリットが得られない場合もあります。面積要件もありますから、事前に確認しておきましょう。



公務員の優遇ローン

公務員が住宅ローン金利において優遇を受けやすいとされるのは、上述の通り金融機関が「どうせなら公務員にお金を貸したい」と考えているからに他なりません。

住宅ローンではありませんが、以下のような公務員専用のフリーローンがあることをご存知でしょうか。

海邦銀行 公務員カードローン
東邦銀行 公務員ローン
琉球銀行 公務員ローン

実際にこういったローンが存在することからも、金融機関における「公務員」への評価がいかに高いかが分かりますね。



公務員特有のリスクも

最後に、住宅ローンに関する公務員特有のリスクについても触れておきます。

給与が大きく上がる可能性は低い

安定性は公務員の大きな魅力ですが、反面、給与の急激な上昇は将来的にも考えにくいと言えます。計画的にローン返済していきましょう。

就業規則が厳格

子供の教育費や予想外の出費などで住宅ローンの返済が苦しくなった時に、一時的に副業で返済を乗り切るケースがあります。近年、自宅で副業をする会社員は多いですし、就業後にコンビニや飲食店などに勤務するダブルワーカーも一定数存在します。しかし公務員は就業規則上、副業ができないため、仮に返済が苦しくなっても自己努力で所得を増やしにくいのです。

こうしたリスクを踏まえると、公務員の場合は、より返済計画が立てやすい長期固定金利が向いているでしょう。長期固定は、変動に比べると金利が高めなので敬遠する方もいますが、優遇金利の恩恵を受けられれば、その金利差も解消できます。

なお、金利の低い変動金利が適している人は、仮に金利が上昇しても返済し続ける余力がある家庭、もしくは繰り上げ返済で金利上昇分を吸収できる家庭です。



まとめ

公務員は、その社会的地位と安定性から、金融機関の評価は高く、優遇金利を受けられる可能性が高いです。住宅ローン控除を併用すれば、そのメリットはさらに大きく、低金利の恩恵を最大限に受けられるでしょう。

公務員特有の注意点もあるにはありますが、いずれも返済計画をきちんと立てれば回避できることばかり。迷っている方は、超低金利での住宅購入を積極的に検討してみてはいかがでしょう。

横山晴美(ライフプラン応援事務所代表)
2013年にFPとして独立。企業に所属せず、中立・公平の立場で活動する。新規購入・リフォーム・二世帯住宅を問わず、家に関することなら購入額から返済計画まで幅広く対応。(AFP FP2級技能士 住宅ローンアドバイザー)



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